オンライン診療システム7社の特徴や料金を比較【2020年版】メドレー・クロン・YaDoc・Pocket Doctorなど

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2020年の診療報酬改定で、要件が緩和される見通しのオンライン診療

これまでは算定のハードルが高かったため、見送られていた方も多かったと思いますが、今一度、導入を検討する時期なのかもしれません。

そこで今回は、オンライン診療システムを供給している7社のシステムを、特徴や料金などで比較して、ご紹介します。

◆オンライン診療~これまでの経緯

従前、オンライン診療(遠隔診療)は、事実上「禁止」とされてきました。

対面診療を行わない遠隔診療は、医師法第20条に抵触する恐れがあると解釈されてきたのです。

1997年12月に、旧厚生省から出された医政局長通知においても、

(遠隔診療は)離島やへき地の患者など直接の対面診療が困難な場合

と示しており、それ以外は出来ないと考えられてきました。

雲行きが変わったのは2015年8月のことで、厚生労働省事務連絡の形で、

「離島、へき地の場合」についてはあくまで例示である

という方針が示されたのです。

2018年3月には「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が発出され、オンライン診療に関するルールが明確化。

2018年4月の診療報酬改定では、「オンライン診療料」等が新設され、保険診療がスタートしました。

◆オンライン診療と診療報酬

2018年改定で新設された、オンライン診療に関する診療報酬は以下の通りです。

オンライン診療料…月70点
オンライン医学管理料…月100点
在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料…月100点
精神科在宅患者支援管理料 精神科オンライン在宅管理料…月100点

前述の通り、診療報酬の算定には、高いハードルが設定されています。

具体的には、

  1. 緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関において診察可能な体制を求めていること
  2. 当該保険医療機関内において行うことを求めていること
  3. 対象疾患を限定していること(特定疾患療養管理料、小児科療養指導料などを算定している患者)
  4. 患者を限定していること(初診以外の患者で、かつ当該管理に係る初診から6月以上経過した患者)

などです。

しかし、政府はオンライン診療を引き続き推進する方針であり、2020年改定では上記の条件緩和が見込まれています。

1.CLINICS/株式会社メドレー

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
CLINICS(クリニクス)株式会社メドレー2016年2月1,000以上

オンライン診療と聞いて真っ先に名前が上がるのが、株式会社メドレーが提供する「CLINICS(クリニクス)」です。

代表取締役医師である豊田剛一郎(とよだ・ごういちろう)氏は、メディアへの露出も高く、ちょっとした有名人ですよね。

CLINICSは知名度が高いだけでなく、運営会社もしっかりしているので、導入後のサポートに定評があります。

①特徴

従来のクリニックにおける2大システムといえば、「予約システム」と「電子カルテ」でした。

クリニックのIT化を考えるとき、大体この2つを導入すれば、それなりの診療体制になっていました。

CLINICS(クリニクス)の特徴は、これらのクリニックのシステムを、自社でラインナップしていること。

予約→診療→会計→レセプト請求という診療業務システムを、CLINICSのシステムで完結させることができます。

②料金

メドレーはシステムがしっかりしていて、サポートも充実している反面、料金は高めの印象があります。

初期費用数十万円+月額3万円と言われていますが、プランにより料金は変動するようです。

2.クロン(curon)/株式会社MICIN

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
curon(クロン)株式会社MICIN(マイシン)2016年4月1,500以上

続いて、curon(クロン)をご紹介します。

運営しているのは、株式会社MICIN(マイシン)という企業で、データソリューション事業とオンライン診療事業を手掛けています。

代表取締役CEOの原聖吾(はら・せいご)氏は、東大医学部卒で過去にマッキンゼーにも在籍。

メドレーの豊田社長と同じ経歴なのは、偶然なのでしょうか?

①特徴

curon(クロン)の特徴は、クリニック向け電子カルテ最大手のPHCや、クラウドで新進気鋭のきりんカルテと連携していることです。

患者データをそれぞれのシステムで別々に持つことは、IT思想としてナンセンスであり、医療経済的にも不効率です。

この課題に対して、自社での解決を試みているのがCLINICSで、提携で解決しようとしているのがcuron(クロン)なのです。

他にも、ケーブルテレビのJ:COMと遠隔診療の実証事件を行ったり、聖マリアンナ医科大学病院と共同で難病患者の遠隔診療に取り組んだり。

curon(クロン)は提携戦略で、プラットフォーマーの座を狙っているのでしょう。

②料金

curon(クロン)は料金面でも大きな特徴があります。

主要4社の中で唯一、医療機関から収益を得ないビジネスモデルなのです。

費用負担は受益者(患者)に―――

という思想のもと、医療機関の負担は、

  • 初期費用ゼロ
  • 月額固定費用ゼロ
  • 事務手数料(診療費用の4%)

となっています。

3.ポケットドクター/MRT・オプティム

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
ポケットドクターMRT株式会社
株式会社オプティム
2016年4月500以上

ポケットドクターは、

スマートフォン、タブレットを用いた遠隔診療サービス

としては、国内初をうたっています。

サービス開始は、メドレーの方が早い(2016年2月)ようにも見えますが、まあ、定義の違いなどがあるのでしょう。

①特徴

ポケットドクターの設計思想は、患者の日常のヘルスケアを含めて管理することだと思います。

そのため、ポケットドクターはヘルスケア関連機器との親和性が高く、バイタルデータなどを診療に活かせるようになっています。

また、主要4社で唯一、「遠隔健康相談サービス」を提供していることも、日常のヘルスケアを意識している証左といえますね。

②料金

ポケットドクターの料金は、初期費用無料、月額固定費用が3万円となっています。

月額固定費用については、最初の2カ月間は無料です。

遠隔健康相談サービスについては、2,980円/10分、3,980円/10分 となっています。

4.YaDoc/株式会社インテグリティ・ヘルスケア

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
YaDoc(ヤードック)株式会社インテグリティ・ヘルスケア2018年1月2,000以上

次に紹介するのは、(株)インテグリティ・ヘルスケアが提供する、YaDoc(ヤードック)です。

この会社の代表取締役会長を務める武藤真祐(むとう・しんすけ)医師は、在宅医療の分野で有名な方。

ちなみに、武藤医師も東大医学部卒でマッキンゼー出身です。

①特徴

YaDoc(ヤードック)の最大の特徴は、以下の電子カルテ5社と連携していること。

  • PHC株式会社
  • 日立ヘルスケアシステムズ株式会社
  • 株式会社ビー・エム・エル
  • 富士通株式会社
  • 株式会社湯山製作所

このことは2つの面でとても重要な意味を持っています。

1点は、オンライン診療の情報がダイレクトで電子カルテへ記載されること。

電カル連携していなければ、オンライン診療システム側に電子データがあるのに、それを見ながら電カルに手入力しなければなりません。

2点目は、この5社でクリニック向けの電子カルテでは相当のシェアを持つこと。

矢野経済研究所の調査では、全国約3万2,400診療所で利用されている電子カルテのうち,5社合計で約1万7,400(53.7%)への導入実績があります。

これらの電カルユーザーがオンライン診療を検討するときは、必ずヤードックが候補に入ってくることになるでしょう。

YaDoc(ヤードック)は、主要4社では最後発ながら、導入施設数は既にナンバー1となっています。

②料金

YaDoc(ヤードック)の料金は、初期費用無料で、月額固定費用が3万円です。

ポケットドクターと同じ料金設定ですね。

従前は「患者数10名までは月額無料」としていましたが、現在はこの制度は終了しています。

5.リモケア/一般社団法人がん哲学外来

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
リモケア一般社団法人がん哲学外来2019年4月不明

ここからは、主要4社を追いかける形のオンライン診療サービスを見ていきます。

2019年4月にサービスを開始したのは、一般社団法人がん哲学外来が運営する『リモケア』。

一般社団法人がん哲学外来とは、

科学としてのがんを学びながら、がんに哲学的な思考を取り入れていく

という団体です。

①特徴

リモケアの特徴は、そのセキュリティの高さにあると言えるでしょう。

まず運用は、医師もスタッフも患者もすべて専用端末を使用します。

専用端末の起動には、世界No.1レベルの顔認証技術を導入。

通信は、NTTドコモのネットワーク上に「リモケア」専用の閉域環境を構築し、専用サーバーでデータ保守を行います。

不正アクセスや紛失・盗難などのリスクにも対策を施しており、オンライン診療でしばしば懸念される「セキュリティ」に対する答えを出している印象です。

②料金

リモケアの料金は、初期登録料+月額(専用端末のレンタル料、システムサービス料、セキュア通信料)という体系となっています。

詳細は、要・お問い合わせです。

6.ルナルナ オンライン診療/株式会社カラダメディカ

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
ルナルナ オンライン診療株式会社カラダメディカ2019年10月不明

続いてご紹介するのは、2019年10月からサービスを開始した『ルナルナ オンライン診療』。

スタートしたばかりのシステムですが、個人的には化けるような気がしています。

①特徴

このシステムの大きな特徴は、女性の健康情報サービス『ルナルナ』と、機能を連携させていることです。

オンライン診療は、現時点ではピルや不妊治療などの自由診療領域と相性が良く、婦人科系にターゲットを絞った戦略は正しいと思います。

また、オンライン診療は、ともするとイノベーティブな雰囲気に陥りがちですが、

①患者が少ない
②参加医療機関が少ない

ということになれば、どんなに良いシステムを構築しても、あまり意味がありません。

『ルナルナ オンライン診療』は、①については、1,400万ダウンロードを誇る『ルナルナ』からの導線を考えているのでしょう。

また、運営側には、医薬品卸で大手の株式会社メディパルホールディングスがついており、②の課題を力強く解決していくと思われます。

最初に「このシステムは化ける」と言ったのは、コンセプトが時代に合っており、患者と医療機関の確保に対する筋道が出来ているためです。

②料金

『ルナルナ オンライン診療』の料金は、調べた範囲では不明です。

分かり次第、追記していきます。

7.みんなの予約-SmartCure/株式会社スマートゲート

サービス名運営会社サービス開始導入施設数
みんなの予約-SmartCure株式会社スマートゲート2017年9月不明

最後にご紹介するのは、株式会社スマートゲートが運営する『みんなの予約-SmartCure』。

しかしこのシステム、情報があまり出ていません。

①特徴

みんなの予約-SmartCureは、主に美容サロンに提供する「みんなの予約」を前身としています。

このため、

  • 発毛促進メニューを扱う床屋・美容サロン→AGA治療クリニック
  • ピーリングや脱毛メニューを扱うエステサロン→皮膚科クリニック

など、新しい枠組みでの顧客サービスが可能となってきます。

②料金

遠隔診療に必須となるカード決済手数料は、他社サービスには10%を越えるものもあります。

『みんなの予約SmartCure』のカード手数料は3.2%と低く設定し、利用料金も低額ということです。

◆まとめ

今回は、オンライン診療システムを7社比較してまいりました。

現状、普及状況は今一つですが、政府は強力にオンライン診療を進める方針であり、長期的には避けて通れない分野かと思います。

このタイミングで、導入のシミュレーションをされてみては如何でしょうか?

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