オンライン診療とは〜診察料や対象疾患は…新型コロナにも使えるのか?

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スマホが病院代わりになる―――。

そんな、夢のような仕組みを実現させるのが『オンライン診療』です。

新型コロナウイルスに対する切り札としても注目を集めていますね

今回は、夢の仕組み『オンライン診療』について、詳しくご紹介していきます。

◆オンライン診療とは?

オンライン診療とは、スマホパソコンを通して医師の診察を受け、薬の処方や診察料の支払いまでをネット上で完結させる仕組みです。

そもそも診察とは、

医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

とされているため、このような仕組みは離島へき地で例外的に認められてきました。

しかし近年は、いわゆるオンライン診療を推進しようという動きがあります。

理由は、

  • スマホの普及で、高画質のテレビ電話が当たり前な存在になった
  • 国にお金がないため、医療費も削減しなければならず、医療体制を効率化しなければならない

などが考えられます。

厚生労働省は2018年の診療報酬改定で、初めて「オンライン診療料」という項目をつくり、制度として認めました。

2020年の診療報酬改定では、実施方法や対象疾患が緩和されています。

オンライン診療は、これからもっと増えていくと思います。

◆診察料はどれくらい?

そうなると気になるのが、お金の面ですよね?

新しい仕組みだから、お金がかかりそうな気もします

オンライン診療の診察料は、どれくらい必要なのでしょうか?

生活習慣病の患者さんがクリニックにかかる場合の金額を比較してみます。

こちらが、従来の対面診療の事例。

診療点数診療報酬患者負担(3割)
再診料73点730円219円
明細書発行体制等加算1点10円3円
外来管理加算52点520円156円
特定疾患療養管理料225点2,250円675円
処方箋料68点680円204円
(合計)419点4,190円1,257円

そして、こちらがオンライン診療です。

診療点数診療報酬患者負担(3割)
オンライン診療料71点710円213円
処方箋料68点680円204円
オンライン医学管理料※100点1,000円300円
(合計)239点2,390円717円

※次回の対面診療時に算定

この事例では、オンライン診療の方が安くなりますね。

ただし、オンライン診療をおこなっている病院では、別に「システム利用料」が必要な場合もあります。

結局はケースバイケースとなるのですが、保険診療がベースとなるので、ビックリするような金額にはならないでしょう。

◆対象となる疾患は?

現在、健康保険上の「オンライン診療料」が算定できるのは、

  • 特定疾患療養管理料
  • 小児科療養指導料
  • てんかん指導料
  • 難病外来指導管理料
  • 糖尿病透析予防指導管理料
  • 地域包括診療料
  • 認知症地域包括診療料
  • 生活習慣病管理料
  • 在宅時医学総合管理料
  • 精神科在宅患者支援管理料

の対象となる患者とされています。

具体的には、糖尿病高血圧慢性胃炎気管支ぜん息などの病気が対象ですね

2020年の診療報酬改定では、

  • 慢性頭痛
  • 在宅自己注射指導管理料を算定する糖尿病、肝疾患(慢性に限る)、慢性ウイルス肝炎患者

が追加されました。

しかし、実際にオンライン診療のニーズが有効とされているのは、アトピー性皮ふ炎うつ病花粉症など。

これらは現在「オンライン診療料」の対象となっていませんが、患者数が多い疾患でもあるので、早期の適用が望まれています。

◆あまり普及していない理由は?

2018年から保険運用が始まったオンライン診療ですが、あまり目にしないと思いませんか?

それには理由があって、まずは先述のとおり、対象患者が限定されていること。

次に、病院がオンライン診療料を算定する際の条件にも、高いハードルがあるためです。

オンライン診療料の算定条件

  • あらかじめ6か月間、毎月同じ医師が対象患者を対面で診療し、対象の医学管理料を算定すること
  • 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿った体制の整備
  • 緊急時を想定しておおむね30分以内に対面で診察できる体制確保
  • 対面での診療とオンラインの診察を組み合わせた診療計画をあらかじめ作成
  • 3カ月に一回は対面での診療を組み込む必要あり

この厳しさでは「オンライン診療をやろう!」という病院が少ないのもうなづけますよね?

このガチガチのルールにも一応理由があって、

(オンライン診療を)大幅に緩和するとモラルハザードが起きるので、慎重に考えてもらいたい。医学的なエビデンスが必要(日本医師会の副会長)

というもの。

本当に患者に良いものかを、十分検証する必要があるということですね

もっともなご意見ですが、それだけではありません。

オンライン診療が本格的に普及すると「これまでの医療体制が根本から変わる」と言われています。

高齢の医師などは、その変革についていけず、倒産する医院がたくさん出てくるかもしれません。

医師会は会員医師の権利(利権?)を守る団体なので、急激な変革は好ましくないのです。

◆新型コロナウイルスにも有効なのか?

現在、世界中で問題となっている新型コロナウイルスに、オンライン診療は有効なのでしょうか?

まず結論をいうと、極めて有効だと思います

新型コロナウイルスが拡大した場合、病院のベッドは重症患者が優先的に使うべきです。

また、病院でウイルスが広まった事例(院内感染)も発生しているので、必要ない人はなるべく病院に行かない方がいいです。

すなわち、軽症患者は自宅に留まることになりますが、この方たちを診察するのに有効な手段として、オンライン診療が改めて脚光を浴びているのです。

2020年2月28日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大の防止を目的に、

  • 医師がオンライン診療で処方箋を出すこと
  • 薬剤師がオンライン服薬指導を実施すること

を、一時的に認めるとしました。

定期的に通院する慢性疾患の患者が「普段服用している薬を処方してもらう、」というのが前提です。

また、3月19日には事務連絡を追加し、

  • 患者の症状が変化した場合に、オンライン診療で別の薬に変更すること

を可能としました。

「不利益などを患者に説明して合意を得ること」などの条件は付きますが、確実にオンライン診療の要件が緩和されています。

◆まとめ

今回の記事を要約すると、

  • オンライン診療は医療の効率化の要請もあり、今後は伸びていく
  • 基本的に保険診療なので、診察料は対面診察と同じ水準
  • 対象は生活習慣病が中心で、ニーズが高い花粉症などは保険対象外
  • 2018年に保険運用開始するも、慎重論が根強く、普及していない
  • 新型コロナウイルス対策の切り札として脚光を浴びている

このような内容になります。

伸び悩んでいたオンライン診療ですが、奇しくも新型コロナウイルスの存在が、普及の導火線となるのかもしれませんね。

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