診療録管理体制加算とは?2020年改定における1と2の施設基準要件と点数の違い

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適切な診療記録の管理を行っている体制を評価する、診療録管理体制加算

データ提出加算の要件にもなっています

今回は、診療録管理体制加算の施設基準や1と2の違いなどを解説していきます。

◆診療録管理体制加算とは?

診療録管理体制加算とは、適切な診療記録の管理を行っている体制を評価するものです。

退院時サマリやDPCコーディングに対する対価ですね

患者単位ではなく、施設単位の加算となります。

◆施設基準の要件

診療録管理体制加算は1と2に分かれています。

それぞれの施設基準の要件を確認しましょう

診療録管理体制加算1

(1)診療記録の全てが保管・管理されていること。

診療記録とは、過去5年間の診療録と、過去3年間の手術記録・看護記録等を指しています。

(2)中央病歴管理室が設置されており、ガイドラインに準拠した体制であること。

ガイドラインとは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(平成29年5月厚生労働省)を指しています。

中央病歴管理室については、後述します。

(3)診療録管理部門または診療記録管理委員会が設置されていること。

どちらかで大丈夫です。

(4)診療記録の保管・管理のための規定が明文化されていること。

規定については、ガイドラインの別紙にサンプルがあります。

(5)年間の退院患者数 2,000名ごとに1名以上の専任の常勤診療記録管理者が配置されており、うち1名以上が専従であること。

診療記録管理者とは、診療情報の管理、入院患者についての疾病統計(ICD10による疾病分類等)を行う人です。

  • 診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を除く)
  • 窓口の受付業務
  • 医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務
  • 看護業務の補助
  • 物品運搬業務等

については、診療記録管理者の業務としないとされています。

なお、専従の診療記録管理者は、医師事務作業補助者を兼ねることができません。

(6)入院患者についての疾病統計には、ICD(国際疾病分類)上の規定に基づき、4桁又は5桁の細分類項目に沿って疾病分類がなされていること。

現在の最新版は、第11回改訂版(ICD-11)となっています。

(7)以下に掲げる項目を全て含む電子的な一覧表を有し、保管・管理された診療記録が、任意の条件及びコードに基づいて速やかに検索・抽出できること。
ア 退院患者の氏名、生年月日、年齢、性別、住所(郵便番号を含む。)
イ 入院日、退院日
ウ 担当医、担当診療科
エ ICD(国際疾病分類)コードによって分類された疾患名
オ 手術コード(医科点数表の区分番号)によって分類された当該入院中に実施された手術

当該データベースについては、各退院患者の退院時要約が作成された後、速やかに更新されていることが必要です。

また、当該一覧表および診療記録に係る患者の個人情報の取扱いについては、ガイダンスに基づく管理が実施されていることとされています。

ガイダンスとは「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日(個人情報保護委員会、厚生労働省))を指しています。

(8)全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること。また、前月に退院した患者のうち、退院日の翌日から起算して 14 日以内に退院時要約が作成されて中央病歴管理室に提出された者の割合が毎月9割以上であること。

退院時要約については「全患者について退院後30日以内に作成されていることが望ましい」とされています。

(9)患者に対し、診療情報の提供が現に行われていること。

診療情報の提供については「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日医政発第0912001号)を参考にします。

診療録管理体制加算2

(1)1の(1)から(4)まで及び(9)を満たしていること。
1の(1)診療記録の管理・保管
1の(2)中央病歴管理室とガイドライン
1の(3)診療録管理部門
1の(4)診療記録保管管理規定
1の(9)診療情報の提供

については同じです。

(2)1名以上の専任の診療記録管理者が配置されていること。

ここが「1」との最大の違いです。

専任で良いので、他の業務との兼任が可能となります。

(3)入院患者についての疾病統計には、ICD大分類程度以上の疾病分類がされていること。
(4)保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること。

「1」ほどの迅速性や検索項目の多さは求められていません。

(5)全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること。
「1」と比べると、

14 日以内に退院時要約が作成されて中央病歴管理室に提出された者の割合が毎月9割以上であること

という要件が外れていますね。

◆1と2の点数の違い

診療録管理体制加算1は100点。

診療録管理体制加算2は30点です。

現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関において、入院初日に限り算定することができます。

なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことであり、入院期間が通算される再入院の初日は算定できません。

◆診療情報管理士は必要か?

診療記録管理者については「診療情報管理士」の資格は必要ありません。

◆まとめ

という訳で今回は、診療録管理体制加算についてご説明してきました。

データ提出加算とセットで考えるケースも多いと思いますので、こちらの記事も参照されてください。

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