オンライン診療【まとめ】2020年改定の診療報酬と施設基準、新型コロナ特例について

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新型コロナ対応で注目を浴びる、オンライン診療

2020年診療報酬改定とコロナの流行が重なったので、情報がゴチャゴチャしてますよね?

今回は、オンライン診療の診療報酬や施設基準、新型コロナ特例を整理していきます。

(動画で見る方はこちら⇩)

◆オンライン診療とは

オンライン診療とは、厚生労働省の定義では、

遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果を伝達する等の診療行為を、リアルタイムで行う行為

とされています。

医師法第20条は無診察診療を禁じているので、従来、オンライン診療は「禁止」と解されてきました。

医師法第20条
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

しかし近年はスマホが普及したことや、医師不足を解消する手段として、

適切なルールの中で、効率的な医療に役立てていきましょう

という流れに変わってきています。

◆オンライン診療の診療報酬

そもそもオンライン診療には、保険診療と自由診療と2パターンあります。

自由診療は報酬の設定も自由ですね

そして、保険診療における診療報酬は、

  • オンライン診療料
  • 個別の医学管理料

の2つに分類されます。

オンライン診療料の診療報酬は、71点です。

A003 オンライン診療料(月1回) 71点

個別の医学管理料は10種類ほどありますが、診療報酬はすべて100点となっています。

B000 特定疾患療養管理料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001_5 小児科療養指導料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001_6 てんかん指導料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001_7 難病外来指導管理料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001_27 糖尿病透析予防指導管理料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001-2-9 地域包括診療料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001-2-10 認知症地域包括診療料(情報通信機器を用いた場合) 100点
B001-3 生活習慣病管理料(情報通信機器を用いた場合) 100点
C002 在宅時医学総合管理料(月1回)オンライン在宅管理料 100点
I016 精神科在宅患者支援管理料(月1回)精神科オンライン在宅管理料 100点

診療報酬の算定例としては、

  • オンライン診療料 71点
  • 処方箋料 68点
  • 特定疾患療養管理料⦅情報通信機器を用いた場合⦆100点

で、合計239点となります。

ちなみに対面診療で同じように診察すると、

  • 再診料 73点
  • 明細書発行体制等加算 1点
  • 外来管理加算 52点
  • 特定疾患療養管理料 225点
  • 処方箋料 68点

と、合計419点算出できます。

オンライン診療の方が、だいぶ低く抑えられていますね

◆オンライン診療料の施設基準

オンライン診療料を算定する場合の施設基準はこうなっています。

  1. 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること
  2. 脳神経外科等の経験を5年以上有する医師または頭痛患者に関する所定の研修を修了した医師を配置していること
  3. オンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であること

1.の情報通信機器を用いた診療に係る指針とは、いわゆるガイドラインです。

後述する「ガイドライン」の部分でご説明します。

2.の基準は、頭痛患者を診療する場合に限られます。

この研修以外にも、ガイドラインの規定により受講しなければならない研修があります

3.の計算式の分母は、再診料、外来診療料、在宅患者訪問診療料、オンライン診療料の合計です。

◆個別の医学管理料の施設基準

個別の医学管理料の施設基準は、オンライン診療料に準じることになっています。

◆2020年診療報酬改定

2020年診療報酬改定で、オンライン診療の取り扱いが一部緩和されています。

主要な変更点は、初診患者、対象疾患、対象エリアの3点です。

2018年診療報酬 2020年診療報酬改定
初診患者 初診から同じ医師による連続6ヶ月の対面診療後でないとオンライン診療が開始できない 初診から同じ医師による連続3ヶ月の対面診療後でないとオンライン診療が開始できない
対象疾患 次の医学管理料を算定している患者に限られる
①特定疾患療養管理料
②小児科療養指導料
③てんかん指導料
④難病外来指導管理料
⑤糖尿病透析予防指導管理料
⑥地域包括診療料
⑦認知症地域包括診療料
⑧生活習慣病管理料
⑨在宅時医学総合管理料
⑩精神科在宅患者支援管理
左記に加え、
慢性頭痛患者在宅自己注射指導管理料を算定する糖尿病、肝疾患(慢性に限る)、慢性ウイルス肝炎患者が追加
対象エリア 施設基準「おおむね30分以内に対面診療が行える体制を確保」 疑義解釈「目安としておおむね30分以内に通院や訪問が可能な患者を想定」

いわゆる30分ルールについては、あまり変わっていないようにも見えますね。

義務から努力目標に変わった感じでしょうか?

◆オンライン診療のガイドライン

オンライン診療については、厚生労働省から情報通信機器を用いた診療に係る指針という、いわゆるガイドラインが出されています。

ガイドラインは全30ページにわたり、診察方法やセキュリティなどが細かく定められています。

最初の10ページくらいは、読み飛ばしてもいいかも…

目次
I オンライン診療を取り巻く環境
II 本指針の関連法令等
III 本指針に用いられる用語の定義と本指針の対象
(1) 用語の定義
(2) 本指針の対象
IV オンライン診療の実施に当たっての基本理念
V 指針の具体的適用
1.オンライン診療の提供に関する事項
(1) 医師-患者関係/患者合意
(2) 適用対象
(3) 診療計画
(4) 本人確認
(5) 薬剤処方・管理
(6) 診察方法
2.オンライン診療の提供体制に関する事項
(1) 医師の所在
(2) 患者の所在
(3) 患者が看護師等といる場合のオンライン診療
(4) 患者が医師といる場合のオンライン診療
(5) 通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)
3.その他オンライン診療に関連する事項
(1) 医師教育/患者教育
(2) 質評価/フィードバック
(3) エビデンスの蓄積

1.(3)診療計画とは、診療内容や診察時間、急変時の対応方針などを記載し、2年間保存しておくものです。

3.(1)医師教育では、厚生労働省が指定する研修を受講しなければならないとされています。

この研修は e-learning 形式なので、いつでも受講できます

◆新型コロナ特例

ここまで、オンライン診療に関する細かいルールを述べてきましたが、これらがほとんどひっくり返る事態が発生しました。

新型コロナウイルス感染症の流行です

厚生労働省は感染拡大を防止するため、2020年4月10日に事務連絡を出し、オンライン診療と電話診療に関する特例を提示しました。

事務連絡の内容をざっくり言うと、オンライン診療は時限的に、ポジティブリスト(原則禁止)からネガティブリスト(原則自由)に移行したと言えるでしょう。

先ほどの初診患者、対象疾患、対象エリアの3点を見ても、こんなに変わってきます。

2020年診療報酬改定 2020年4月10日事務連絡
初診患者 初診から同じ医師による連続3ヶ月の対面診療後でないとオンライン診療が開始できない 初診でも臨時的に認める
対象疾患 特定疾患療養管理料等10項目に加え、
慢性頭痛患者、在宅自己注射指導管理料を算定する糖尿病、肝疾患(慢性に限る)、慢性ウイルス肝炎患者が追加
限定なし
対象エリア 疑義解釈「目安としておおむね30分以内に通院や訪問が可能な患者を想定」 限定なし

また、オンライン診療は診療報酬が少ないのがネックでしたが、コロナ対応では臨時的な診療報酬も付けられました。

初診料は214点が算定できます。

A000 注2 初診料(他の医療機関からの紹介割合が低い病院) 214点

A000の注2は「病院」に対する点数ですが、特例として診療所も算定可能です。

医学管理料は147点となりました。

B000-2 特定疾患療養管理料(許可病床数が100床未満の病院) 147点

こちらも診療所で算定ができます。

算定例としては、

  • 初診料 214点
  • 処方箋料 68点
  • 管理料 147点

429点

だいぶ、採算ラインに近づいてきましたね

◆まとめ

という訳で今回は、オンライン診療に関する2020年の診療報酬改定と新型コロナ特例についてまとめてきました。

新型コロナ特例が終了した時は、元の体制に戻ることになるのでしょうか?

個人的には、完全に元には戻らないと思いますが…

LINEのオンライン診療参入も発表されており、今後もこの分野には注目していきたいと思います。

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