介護医療院とは?【2020年版】施設基準や介護報酬、転換にかかる補助金等について

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お世話になっているA中央病院の院長先生から、

病床を介護医療院に転換したいから手伝ってほしい

というご相談をいただきました。

今回は、介護医療院の施設基準介護報酬、転換にかかる補助金などを整理していきます。

◆介護医療院とは

そもそも介護医療院とは何でしょうか?

介護保険法第8条第29項では、介護医療院を以下のように定義しています。

  • 要介護者であって、
  • 主として長期にわたり療養が必要である者に対し、
  • 施設サービス計画に基づいて、
  • 療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設

施設サービス計画とは、要介護者一人一人について、施設が提供するサービスの内容や種類、担当者などを定めたケアプランのことです。

でも何だか分かりづらいですね…

もっと分かりやすく言うと『高齢者が住むことが認められた病院』でしょうか。

ちなみに介護医療院には、住民票を移すことができます。

◆介護医療院の「施設基準」

介護医療院を開設するにあたり、必要なものはなんですか?

介護医療院を開設するためには、介護医療院の施設基準を満たす必要があります。

施設基準は、大きく「設備基準」と「人員基準」に分かれます。

1.設備基準

①設備基準

介護医療院の設備基準には、以下のような項目があります。

療養室定員4名以下
面積8.0㎡/床(老健施設相当)
機能訓練室40㎡以上
食堂入所定員1人当たり1㎡以上

面積については、療養病床からの転換については、6.4㎡(人)でもOKとされています(大規模改修まで)。

A中央病院は、10年以上前に介護療養病床へ転換しましたが、その時に床面積8.0㎡を満たしていたので、面積は大丈夫そうですね

また、介護医療院は「居住施設」でもあるため、プライバシーに配慮した療養環境の整備を求められます。

多床室の場合、家具やパーテーション等で間仕切りを設置しなければいけません。

病室みたいにカーテンの仕切りのみでは、十分なプライバシーの確保はできないと解されています。

A中央病院は、高さ1.5mの床頭台で間仕切りすることで、クリアできる見込みです

②その他の設備基準

ほかに、少しアバウトな基準もあります。

  • 診察室:医師が診察を行うのに適切なもの
  • 談話室:談話を楽しめる広さ
  • 浴 室:身体の不自由なものが入浴するのに適したもの
  • レクリエーションルーム:十分な広さ

これらはまあ、適切なものを準備すればよいでしょう

③医療的な設備

介護医療院は医療行為を行う場所でもあるので、

  • 処置室
  • 臨床検査施設
  • エックス線装置
  • 調剤所

など、医療的な設備を備えなければなりません。

A中央病院のように、医療機関併設型の介護医療院であれば、特別に準備する必要はありません

④生活設備

最後に、生活を送る場という前提から、

  • 洗面所
  • 便所
  • サービスステーション
  • 調理室
  • 洗濯室または洗濯場
  • 汚物処理室

などの設備も求められています。

病床からの転換であれば、すでにあるものばかりですね

⑤サービス提供単位

介護医療院のサービス提供単位は、療養棟単位です。

ただし、規模が小さい場合については、療養室単位でのサービス提供が可能とされています。

2.人員基準

介護医療院は、配置する人員を基準にⅠ型介護医療院Ⅱ型介護医療院に分けられます。

考え方は、Ⅰ型は介護療養病床相当、Ⅱ型は老人保健施設相当です。

①Ⅰ型介護医療院

Ⅰ型介護医療院の想定する利用者は、

  • 重篤(じゅうとく)な身体疾患をもつ人
  • 身体合併症を有する認知症高齢者

などです。

人員基準はこんな感じ

医師48対1(最低3人以上)
薬剤師150対1
看護職員6対1
介護職員5対1

医療機関併設型の介護医療院の場合、ミニマムで医師3名以上の確保という条項はなく、48対1を満たしていれば問題ありません。

②Ⅱ型介護医療院

Ⅱ型介護医療院が想定する利用者は、容体が比較的安定した人たちです。

人員基準はⅠ型より緩やかですね

医師100対1(1人以上)
薬剤師300対1
看護職員6対1
介護職員6対1

③共通

以下は、介護医療院のⅠ型とⅡ型に共通する人員基準です。

ざっくりしてますね

リハビリ専門職適当数
栄養士定員100人以上で1以上
介護支援専門員100対1(1名以上)
放射線技師適当数
他の従事者適当数

◆介護医療院の「介護報酬」

介護医療院の収入は、どんな感じになりますか?

収入の柱である介護報酬は、基本報酬と、加算で考えていきます。

①基本報酬

Ⅰ型介護医療院(介護療養病床相当)

介護医療院の基本報酬は、利用者の要介護度と、看護師・介護士の配置によって決定されます。

サービス費(Ⅰ)
療養機能強化型A相当
(看護6:1 介護4:1)
サービス費(Ⅱ)
療養機能強化型B相当
(看護6:1 介護4:1)

サービス費(Ⅲ)
療養機能強化型B相当
(看護6:1 介護5:1)

要介護1803単位791単位775単位
要介護2911単位898単位882単位
要介護31,144単位1,127単位1,111単位
要介護41,243単位1,224単位1,208単位
要介護51,332単位1,312単位1,296単位

介護報酬は金額ではなく「単位」で表されます。

基本は1単位=10円ですが、賃金が高い地域は上乗せがあります。

ちょっと細かいですが、Ⅰ型介護医療院の算定要件も載せておきますね

  • 入所者等のうち、重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者の占める割合が50%以上
  • 入所者等のうち、喀痰(かくたん)吸引、経管栄養又はインスリン注射が実施された者の占める割合が50%以上 ※(Ⅱ)(Ⅲ)では30%以上
  • 入所者等のうち、次のいずれにも適合する者の占める割合が10%以上 ※(Ⅱ)(Ⅲ)では5%以上
    1. 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること
    2. 入所者等又はその家族等の同意を得て、入所者等のターミナルケアに係る計画が作成されていること
    3. 医師、看護職員、介護職員等が共同して、入所者等の状態又は家族の求め等に応じ随時、本人又はその家族への説明を行い、同意を得てターミナルケアが行われていること
  • 生活機能を維持改善するリハビリテーションを行っていること
  • 地域に貢献する活動を行っていること

Ⅱ型介護医療院(老人保健施設相当)

II型も同様に、要介護度と看護師・介護士の配置により決定されます。

サービス費(Ⅰ)
転換老健相当
(看護6:1 介護4:1)
サービス費(Ⅱ)
転換老健相当
(看護6:1 介護5:1)
サービス費(Ⅲ)
転換老健相当
(看護6:1 介護6:1)
要介護1758単位742単位731単位
要介護2852単位836単位825単位
要介護31,056単位1,040単位1,029単位
要介護41,143単位1,127単位1,116単位
要介護51,221単位1,205単位1,194単位

そしてⅠ型と同じように算定要件があります

  • 喀痰(かくたん)吸引若しくは経管栄養が実施された者の占める割合が15%以上
  • 著しい精神症状、周辺症状若しくは重篤な身体疾患が見られ専門医療を必要とする認知症高齢者の占める割合が20%以上
  • 著しい精神症状、周辺症状若しくは重篤な身体疾患又は日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ専門医療を必要とする認知症高齢者の占める割合が25%以上
  • ターミナルケアを行う体制があること

②主な加算

介護医療院の経営においては、加算を確実にとることが大切です。

介護医療院でおなじみの加算を見ていきましょう

a.初期加算

初期加算とは、介護施設の利用を開始した人が施設での生活に慣れるため、様々な支援を行う取り組みを評価するものです。

点数は、30単位/日

名前のとおり、入所した日から最初の30日以内にかぎりとることができます

b.栄養マネジメント加算

栄養マネジメント加算とは、管理栄養士による、栄養マネジメントや栄養改善サービスを評価するものです。

点数は、14単位/日

管理栄養士が、継続的に入所者ごとの影響管理をする必要があります

c.緊急時施設療養費(緊急時治療管理)

緊急時施設療養費とは、とつぜん体調が悪化した入所者に対して、医療行為や治療管理を入所施設が実施することを評価する項目です。

点数は、511単位/日

入所者の病状が重篤(じゅうとく)となり、緊急的な医療行為や治療を行えば算定できます

d.経口移行加算

経口移行加算とは、現在「管」から食事をとっている入所者を対象に、再び「口」から食事を摂ってもらえるように、専門職がチームを組んで計画的に対策することを評価するものです。

点数は、28単位/日

算定用件は、医師、歯科医師、管理栄養士等が共同して、入所者ごとに経口移行計画を作成し、計画に従って支援が行われることです

e.重度認知症疾患療養体制加算

重度認知症疾患療養体制加算とは、介護医療院において、認知症の入所者に手厚いケアを提供できる体制を整えていることを評価する項目です。

点数は高い方(Ⅱ)で、

  • 要介護1、2 200単位/日
  • 要介護3~5 100単位/日

算定用件は、精神保健福祉士や看護職員などが一定数以上配置されていること。

精神科病院との連携も必要です

◆転換にかかる補助金

介護医療院を開設するに当たり、国から補助金はありますか?

ここでは、療養病床から介護医療院へ転換する際の補助金などをご紹介していきます。

①移行定着支援加算

のっけから何ですが、移行定着支援加算は補助金ではありません。

しかし実態は、介護医療院への転換を促す「補助金的」な性格なのです。

1日につき93単位と、とても手厚いですね

算定期間は1年間に限定され、算定期限が2021年3月末までとなっているので、検討される方は急いだ方がいいでしょう。

移行定着支援加算の要件は、

  • 医療療養病床、介護療養病床、介護療養型老人保健施設から介護医療院への転換であること
  • 転換前後におけるサービスの変更内容を利用者及びその家族や地域住民等に丁寧に説明すること
  • 入所者及びその家族等と地域住民等との交流が可能となるよう、地域の行事や活動等に積極的に関与していること。

です。

A中央病院の場合は、50床を介護医療院へ移行するので、

93単位×10×50床×365日=1,697万2,500円

最大で1,697万円算定できそうです。

②地域医療介護総合確保基金

地域医療介護総合確保基金は、地域医療・介護の整備に関する事業に交付されます。

介護医療院の開設・移行に関する事業は次の5つです

a.地域密着型サービス等整備助成事業

介護医療院の整備に必要な工事費等が対象となります

b.介護施設等の施設開設準備経費等支援事業

介護医療院等の円滑な開所や既存施設の増床に必要な需用費、使用料及び賃借料、備品購入費が対象となります

c.定期借地権設定のため一時金の支援事業

定期借地権設定に際して授受される一時金であって、借地代の前払いの性格を有するものを対象とします

d.既存の特別養護老人ホーム等のユニット化改修等支援事業

介護医療院等のユニット化等の改修に必要な工事費等を対象とします

e.介護療養型医療施設等転換整備支援事業

d.に同じ

③病床転換助成事業

病床転換助成事業とは、療養病床の転換を後押しする補助金です。

介護医療院への転換も対象となり、転換にかかった費用が都道府県から助成されます。

助成事業の期限は 2023年度末です

補助金は1床あたり、

  • 改修:50万円
  • 創設:100万円
  • 改築:120万円

となっています。

◆まとめ

という訳で今回は、介護医療院に関する施設基準介護報酬、転換にかかる補助金などをおさらいしてきました。

A中央病院のように介護医療病床を持っていると、どのみち病床転換しなければなりません。

介護療養病床の設置期限は、2024年3月末ですからね

そうであれば、移行定着支援加算が使えるうちに、介護医療院への転換を検討した方がよいでしょう。

準備に時間が掛かるので、早めに検討をスタートした方が良さそうです。

◇編集後記

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