適切な診療記録の管理を行っている体制を評価する、診療録管理体制加算。
データ提出加算の要件にもなっています
今回は、診療録管理体制加算の施設基準や1と2の違いなどを解説していきます。
◆診療録管理体制加算とは?
診療録管理体制加算とは、適切な診療記録の管理を行っている体制を評価するものです。
退院時サマリやDPCコーディングに対する対価ですね
患者単位ではなく、施設単位の加算となります。
◆施設基準の要件
診療録管理体制加算は1と2に分かれています。
それぞれの施設基準の要件を確認しましょう
診療録管理体制加算1
診療記録とは、過去5年間の診療録と、過去3年間の手術記録・看護記録等を指しています。
ガイドラインとは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(平成29年5月厚生労働省)を指しています。
中央病歴管理室については、後述します。
どちらかで大丈夫です。
規定については、ガイドラインの別紙にサンプルがあります。
診療記録管理者とは、診療情報の管理、入院患者についての疾病統計(ICD10による疾病分類等)を行う人です。
- 診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を除く)
- 窓口の受付業務
- 医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務
- 看護業務の補助
- 物品運搬業務等
については、診療記録管理者の業務としないとされています。
なお、専従の診療記録管理者は、医師事務作業補助者を兼ねることができません。
現在の最新版は、第11回改訂版(ICD-11)となっています。
ア 退院患者の氏名、生年月日、年齢、性別、住所(郵便番号を含む。)
イ 入院日、退院日
ウ 担当医、担当診療科
エ ICD(国際疾病分類)コードによって分類された疾患名
オ 手術コード(医科点数表の区分番号)によって分類された当該入院中に実施された手術
当該データベースについては、各退院患者の退院時要約が作成された後、速やかに更新されていることが必要です。
また、当該一覧表および診療記録に係る患者の個人情報の取扱いについては、ガイダンスに基づく管理が実施されていることとされています。
ガイダンスとは「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日(個人情報保護委員会、厚生労働省))を指しています。
退院時要約については「全患者について退院後30日以内に作成されていることが望ましい」とされています。
診療情報の提供については「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日医政発第0912001号)を参考にします。
診療録管理体制加算2
1の(2)中央病歴管理室とガイドライン
1の(3)診療録管理部門
1の(4)診療記録保管管理規定
1の(9)診療情報の提供
については同じです。
ここが「1」との最大の違いです。
専任で良いので、他の業務との兼任が可能となります。
「1」ほどの迅速性や検索項目の多さは求められていません。
14 日以内に退院時要約が作成されて中央病歴管理室に提出された者の割合が毎月9割以上であること
という要件が外れていますね。
◆1と2の点数の違い
診療録管理体制加算1は100点。
診療録管理体制加算2は30点です。
現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関において、入院初日に限り算定することができます。
なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことであり、入院期間が通算される再入院の初日は算定できません。
◆診療情報管理士は必要か?
診療記録管理者については「診療情報管理士」の資格は必要ありません。
◆まとめ
という訳で今回は、診療録管理体制加算についてご説明してきました。
データ提出加算とセットで考えるケースも多いと思いますので、こちらの記事も参照されてください。
コメント