【新型コロナウイルス】影響を受けた病院・クリニック向けの融資や助成金について

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新型コロナウイルスの感染拡大により、病院やクリニックの経営にも深刻な影響が出ています。

私のクライアントも、一般の患者が大きく減少しています

今回は、そんな医療機関が利用できる融資制度や助成金をご紹介します。

◆民間金融機関による信用保証付き融資

①セーフティネット保証4号・5号

病院やクリニックにとって一番取り組みやすいのは、銀行融資でしょうか?

国は信用保証制度を通じて、民間金融機関によるコロナ対策融資を拡充しています。

セーフティネット保証4号・5号
融資限度額 2億8000万円
担保 2000万円まで無担保無保証
8000万円まで無担保
金利 保証料率1.0%以内
(別途金融機関の所定金利)
借入期間 10年以内
据置期間 2年以内

銀行からの借金ですが、公的機関が保証人になってくれるので、銀行も出しやすいです

セーフティネット保証4号は、一般枠とは別枠で、銀行借入の100%を保証してくれるものです。

病院を含む幅広い業種が対象ですが、

売上高が前年同月比▲20%以上減少していること

が条件となっています。

セーフティネット保証5号は、特に重大な影響が生じている業種について、4号と同枠で、借入債務の80%を保証するものです。

病院・クリニックは2020年4月10日に追加され、利用できるようになりました。

要件は4号よりも緩く、

売上高が前年同月比▲5%以上減少していること

となっています。

手続きとしては、まずは取引銀行に相談するか、または直接信用保証協会に行っても大丈夫です。

売上高(医業収益)の減少については市区町村長の認定が必要なので、役所に認定申請を出すようになります。

形式が合っていれば、すぐに認定してくれます

②危機関連保証

新型コロナに関して、国はセーフティネットにプラスして、もう一つ信用保証制度を用意しました。

危機関連保証
融資限度額 2億8000万円
担保 2000万円まで無担保無保証
8000万円まで無担保
金利 保証料率0.8%以内
(別途金融機関金利が必要)
借入期間 10年以内
据置期間 2年以内

一般枠(2.8億円)、セーフティネット(2.8億円)とさらに別枠(2.8億円)です。

ありえない大盤振る舞いですね。それだけコロナの影響が深刻なのでしょう

全国・全業種の事業者が対象で、当然、病院・クリニックも使えます。

銀行借入の100%を保証してくれますが、

売上高が前年同月比▲15%以上減少していること

という条件があります。

手続きの流れは、セーフティネット保証と同じです。

◆日本政策金融公庫

日本政策金融公庫も、病院・クリニックが使える緊急融資を準備しています。

以前は国民生活金融公庫(国金)と呼ばれていましたね

新型コロナウイルス感染症特別貸付
融資限度額 中小事業 3億円
国民事業 6,000万円
担保 無担保
金利 当初3年間:基準金利▲0.9%
4年目以降:基準金利
借入期間 設備20年以内、運転15年以内
据置期間 5年間

中小事業と国民事業の違いは、資本金5,000万円、従業員100人を超えているかどうかです。

融資の対象は、

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、最近1ヶ月の売上高(医業収入)が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方

となっています。

新規開業したばかりのクリニックや、傘下病院が増えたばかりの医療法人などは、

  1. 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む)の平均売上高
  2. 令和元年12月の売上高
  3. 令和元年10月~12月の売上高平均額

と比較するなど、柔軟な取り扱いをしてくれます。

無利子となる制度もあります!

スタッフ5名以下のクリニックは売上高が15%減少、それ以外は売上高が20%減少していれば、日本政策金融公庫の融資は無利子となります。

すでに借りている分も含まれますが、具体的な手続きは「これから案内する」ということです。

◆福祉医療機構

医療機関向け融資を専門とする福祉医療機構も、コロナ対策資金を準備しました。

新型コロナウイルスの影響により事業の継続に
支障がある事業者に対する経営資金
融資限度額 病院:7億2000万円
老健施設・介護医療院:1億円(同1億円)
診療所・助産所ほか:4000万円(同4000万円)
担保 3億円まで無担保
金利 当初5年間:1億円まで無利子・1億円超の部分0.200%
6年目以降:0.200%
借入期間 10年間
据置期間 5年間

融資を受けることができるのは、

当貸付事業の融資対象施設を経営している事業者の方であって、新型コロナウイルスの感染等当該施設の責に帰することができない理由により事業の継続に支障がある方

とされています。

具体的には、

  • 患者やスタッフが新型コロナウイルスに感染したため、やむなく診療を停止した場合
  • 患者やスタッフが新型コロナウイルスに感染したことに伴い、診療体制を縮小した場合
  • 新型コロナウイルス感染症の防止のため、自治体などからの要請を受けて、休業した場合

などが当てはまります。

なお、融資条件には「中長期的に業況が回復することが見込まれること」も含まれています。

少々ハードルが高いですね…

◆雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、会社都合で従業員を休ませる際に、企業が支払う休業手当の一部を国が助成する制度です。

従業員の解雇を防ぎ、雇用を維持する狙いですね

新型コロナに対応して、2020年4月1日より、雇用調整助成金の内容が大幅に拡充されています。

雇用調整助成金(特例措置)
助成内容・対象の大幅な拡充 ① 休業手当に対する助成率を引き上げ
(中小企業4/5、大企業2/3)
② 解雇等行わない場合、助成率の上乗せ
(中小企業9/10、大企業3/4)
③ 教育訓練を実施した場合の加算額の引き上げ
(中小企業2,400円、大企業1,800円)
④ 新規学卒者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者も助成対象
⑤1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用可能
⑥ 雇用保険被保険者でない労働者の休業も対象に
受給要件の更なる緩和 ⑦ 生産指標の要件を緩和(対象期間の初日が令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間は、5%減少)
⑧ 最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象
⑨ 雇用調整助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)を撤廃
⑩ 事業所設置後1年以上を必要とする要件を緩和
⑪ 休業規模の要件を緩和
活用しやすさ ⑫ 事後提出を可能とし提出期間を令和2年6月30日まで延長
⑬ 短時間一斉休業の要件を緩和
⑭ 残業相殺制度を当面停止
⑮ 申請書類の大幅な簡素化

特例の対象は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全事業主で、病院・クリニックも含まれます。

自治体からの休業要請の有無は申請資格に関係がないということなので、すべてのエリアが対象となります。

申請書類は、記載事項を約5割削減するなど簡略化されていて、申請しやすくなっています。

◆東京都の施策

2020年4月15日、東京都は総額8,000億円にのぼるコロナ対策を打ち出しました。

このうち、病院・クリニックに対しては、

  • 病院の治療機器の拡充や感染者との動線分離などの整備…14億円
  • 医療機関などへのマスク提供…34億円
  • 医療従事者の宿泊先確保の支援金…6億円

を計上しています。

小池都知事は「命を守る最前線の人たちを守る予算だ」と話しています。

◆福岡市の施策

2020年4月14日、福岡市の高島市長は、100億円規模の緊急支援策を発表しました。

病院・クリニックに関しては、

  • 福岡市内の全医療機関に規模に応じて40万~600万円を支給
  • 新型コロナ感染者の入院を受け入れた医療機関には1人当たり30万円を給付

とされています。

高齢者・障害者施設にも、15万~150万円の特別給付金が出されます。

◆まとめ

という訳で今回は、新型コロナに対応した融資制度や助成金を見てきました。

  • 民間金融機関による信用保証付き融資
  • 日本政策金融公庫
  • 福祉医療機構
  • 雇用調整助成金

まずは運転資金を確保し、場合によってはスタッフを休ませることも選択肢ですね

新型コロナウイルスの早期収束を願ってやみません。

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