病床を効率的に運用する方法の一つが、地域包括ケア病棟(病床)です。
アフターコロナの選択肢として、あらためて注目されています
今回は、地域包括ケア病棟の施設基準や診療報酬について、おさらいしていきます。
◆地域包括ケア病棟・病床とは?
地域包括ケア病棟(病床)とは、名前のとおり、地域包括ケアシステムを支える役割をもつ病棟です。
2014年の診療報酬改定で創設されて以来増え続け、2019年6月には、2,424病院 84,813床が届出を行っています。(日本アルトマーク調査)
◆対象患者
地域包括ケア病棟(病床)には、3つの役割があるとされています。
対象患者は、それぞれの役割によって異なってきます。
- ポストアキュート…急性期治療を経過し病状が安定した患者
- サブアキュート…自宅や介護施設等において急性増悪した患者
- 在宅復帰支援…在宅療養に不安がある患者
◆施設基準(看護師配置や在宅復帰率など)
それでは、地域包括ケア病棟の現時点(2020年4月改定)での施設基準を確認していきます。
まずは共通の部分です
入院料(管理料)1~4共通 | |||||||||
看護職員 | 13対1以上(7割以上が看護師) | ||||||||
重症患者割合 | 重症度、医療・看護必要度Ⅰ 14%以上 重症度、医療・看護必要度Ⅱ 11%以上 |
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入退院支援部門 | 入退院支援及び地域連携業務を担う部門が設置されていること | ||||||||
リハビリ専門職 | 病棟又は病室を有する病棟に常勤の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を1名以上配置 | ||||||||
リハビリテーション実施 | 患者の入棟時に測定したADLスコア等を参考にリハビリテーションの必要性を判断・説明・記録すること リハビリテーションを提供する患者については1日平均2単位以上提供していること |
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意思決定支援の指針 | 適切な意思決定支援に係る指針を定めていること |
ここからは、入院料によって異なってきます
入院料1 | 管理料1 | 入院料2 | 管理料2 | 入院料3 | 管理料3 | 入院料4 | 管理料4 | ||
在宅復帰率 | 7割以上 | - | |||||||
一般病棟から転棟した患者割合※1 | - | 6割未満 | - | - | 6割未満 | - | |||
実績部分 | 自宅等から入棟した 患者割合 |
1割5分以上 | 10床未満は3月で6人以上 | 1割5分以上 | 10床未満は3月で6人以上 | ||||
自宅等からの緊急患者の受入 | 3月で6人以上 | - | 3月で6人以上 | - | |||||
地域包括ケアの実績※2 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
届出単位 | 病棟 | 病室 | 病棟 | 病室 | 病棟 | 病室 | 病棟 | 病室 | |
許可病床数200床未満のみが対象 | ○ | - | ○ | ○ | - | ○ |
※1の患者割合は、許可病床が400床以上の病院で、入院料(管理料)2か4を届け出ている場合のみ問われます。
この条件が満たせなくても入院料(管理料)は算定できますが、点数が10%減算されます。
※2の実績については、以下のⅰ~ⅵ のうち2つ以上に該当する必要があります
- 当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の算定回数が直近3か月間で30回以上であること
- 当該保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料又は精神科訪問看護・指導料Ⅰの算定回数が直近3か月間で60回以上であること
- 同一敷地内又は隣接する敷地内に位置する訪問看護ステーションにおいて訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の算定回数が直近3か月間で300回以上であること
- 当該保険医療機関において 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定回数が直近3か月間で30回以上であること
- 同一敷地内又は隣接する敷地内に位置する事業所が、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問看護又は介護予防訪問リハビリテーションの提供実績を有していること
- 当該保険医療機関において 退院時共同指導料2の算定回数が直近3か月間で6回以上であること
◆診療報酬(入院料と加算項目)
地域包括ケア病棟(病床)で、診療報酬の基本となる入院料は次のとおりです。
- 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1 2809点
- 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)2 2620点
- 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)3 2285点
- 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)4 2076点
これに、要件が合えば以下の加算が算定できます。
- 看護職員配置加算 150点
- 看護補助者配置加算 160点
- 急性期患者支援病床初期加算 150点
- 在宅患者支援病床初期加算 300点
- 看護職員夜間配置加算 65点
急性期患者支援と在宅患者支援に対する初期加算、夜間配置加算は14日間限定となっています
◆60日を超えた場合
地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は、入院した日から60日を限度とされています。
仮に60日を超えた場合、
- 一般病棟…特別入院基本料 607点
- 療養病棟1…入院料I 815点
- 療養病棟2…入院料I 751点
となり、大幅減収は避けられません。
◆2020年診療報酬改定における変更点
2020年4月の診療報酬改定では、大病院の地域包括ケア病棟に制限がかけられました。
- 400床以上の病院は地域包括ケア病棟入院料の新規届け出が不可
- 自院内の一般病棟から転棟した地域包括ケア病棟の患者割合が「60%以上」の400床以上の病院は、入院料を10%減算
- 自院内のDPC/PDPS対象病棟から地域包括ケア病棟への転棟時は、診断群分類点数表に定められた入院期間Ⅱまでの間、診断群分類点数を算定
また、施設基準のところで「実績部分」の要件がありましたが、この部分も変更されています。
改定前 | 2020年改定後 | |
自宅等から入棟した患者割合 | 1割以上(10床未満の病室は3月3人以上) | 1割5分以上(10床未満の病室は3月6人以上) |
自宅等からの緊急患者の受入 | 3月3人以上 | 3月6人以上 |
在宅医療等の提供 | 以下(4つ)のうちいずれか2つ以上を満たすこと | 以下(6つ)のうちいずれか2つ以上を満たすこと |
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定回数(3月)20回以上 | 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定回数(3月)30回以上 | |
在宅患者訪問看護・指導料等の算定回数/同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等の算定回数 (3月)100回以上/500回以上 |
在宅患者訪問看護・指導料等の算定回数(3月)60回以上 | |
併設の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等の算定回数(3月)300回以上 | ||
開放型病院共同指導料の算定回数(3月)10回以上 | (削除) | |
同一敷地内の事業所で介護サービスを提供していること | 併設の事業所が介護サービスの提供実績を有していること | |
- | 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定回数(3月)30回以上 | |
- | 退院時共同指導料2の算定回数(3月)6回以上 |
◆まとめ
今回は、地域包括ケア病棟(病床)について、おさらいしてきました。
地域包括ケアシステムを担う中心選手として、地ケア病棟はこれからも増えていくことでしょう。
地域包括ケア病棟の申請手続きに関する記事はこちら
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