2019年12月17日、厚労省は診療報酬改定(2020年度)の改定率を公表しました。
しかし今回の改定率、なかなか複雑です。
一つひとつ、読み解いていきたいと思います。
◆2020年度診療報酬改定の改定率
公表された報酬改定の改定率は、以下の通りです。
- 本体部分を0.55%上げる
- 薬価を0.98%(市場拡大再算定の見直しなどの影響を含めると0.99%)下げる
- 材料価格を0.02%下げる
単純に考えると、次のようになります。
改定率 | |
診療報酬本体部分 | +0.55% |
薬価 | △0.99% |
医療材料 | △0.02% |
合計(ネット全体) | △0.46% |
◆ネット(全体)で△0.46%
上述のように、ネット(全体)で考えると△0.46%となります。
しかし厚労省は、
財源が異なるため、すべてを合算して『ネットで●%』と言いにくい
と説明しており、△0.46%とは言っていません。
どういう事かと言うと、今回改定では本体部分の一部に「救急病院における勤務医の働き方改革」という名目で、消費税財源を充てているのです。
そもそも、診療報酬の財源は、国庫(税金)、保険料、患者負担から成り立っています。
そこに一部、純粋な消費税財源が混ざるので、合算して言い表せないという理屈なのですね。
◆本体部分で+0.55%
本体部分+0.55%のうち、0.47%が「通常の本体改定」分で、0.08%が「医師の働き方改革への特例対応」分となります。
改定率 | |
通常の本体改定 | +0.47% |
医師の働き方改革 | +0.08% |
合計(診療報酬本体部分) | +0.55% |
「通常の本体改定」の内訳は、医科が+0.53%、歯科が+0.59%、調剤が+0.16%です。
従前の「医科:歯科:調剤の比率=1:1.1:0.3」が維持された格好となっています。
◆薬価は△0.99%
薬価は△0.98%と公表されています。
金額ベースで△1100億円程度、市場拡大再算定の見直しなどの影響を含めると△0.99%となっています。
◆材料価格は△0.02%
材料価格は△0.02%と公表されています。
金額ベースでは△30億円程度となっています。
◆まとめ
という訳で今回は、2020年度診療報酬改定における改定率を見てきました。
マイナス改定が続く中で起こる、パイの奪い合いの勝者は、いったい誰なのでしょうか?
https://kagerou-kazoku.com/medical-fee-revision-2020-seminar
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